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国境と旅人2(テロと旅人)

シンガポールからマレーシアへ国境を越えようとしていたときのこと。

バスに乗って「ジョホール陸橋」という海に架かる橋を渡っていると、大渋滞に巻き込まれました。
この橋上の渋滞は、毎朝の恒例行事みたいなものらしく、乗り合わせた現地の乗客たちは涼しい顔をしています。

何気なく窓外を見ると、歩いて橋を渡る人に抜かれていることに気づきました。
私も歩いたほうが早いかな、と思い窓の外に顔を出しました。
国境までの距離は50mほどでしたが、道はびっしりと車で埋められていたので歩いていこうと決めたそのとき、前方にある赤い車が目についたのです。

その車は突然、運転席と助手席の両扉が開き、同時に2人の男が各々のドアから飛び出しました。
かと思うと慌てるようにして後方にダッシュし、ドアは開けっ放しで、車にはもはや誰も乗っていません。
はて? 何じゃあれは?? と不思議に思ったその5秒後、ドーン! という爆音と共に車が爆発したのです。

バスから身を乗り出していた私の顔には、生まれて初めての爆風が浴びせられました。
車からは火柱が上がり、辺りはモウモウとした黒煙に包まれています。
人々はパニック状態になり、入国審査も一時的に閉鎖されました。

しかし、この騒ぎのおかげで長かった入国審査の行列が消え、私は最前列に陣取ることが出来ました。
国境警備隊の話によると、この爆発は爆破テロだということでしたが、幸いにも死傷者はいなかったそうです。