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国境と旅人

インドからネパールヘ入国しようとしていたときのこと。

島国である日本人にとって、陸続きで国境を越えるという行為には感慨深い思いがあるものです。
長距離バスを降り、インドの出国を済ませて、歩いて国境線まで行きました。
そしてネパールの入国審査へ向かい、パスポートを広げました。

ところが、係官のおじさんは何だか渋い顔をしてビザ取得の判を捺してくれないのです。
「どうした、なにか問題でもあるのか」
私は訊きました。
すると、ヒゲでデブの彼は小さなあくびをしてから答えました。
「今日は熱い。昨日も熱かった。きっと明日も熱いだろう。
だから、コーラ買ってくれなきゃハンコは捺さない」

はぁ!?

私は色んな国の色んな人たちに色んな賄賂を要求されたことがあります。
だいたいが10ドルや100ドル、または腕時計や着ている服をよこせ、というものでした。

しかし、コーラをくれなきゃビザをやらない、と凄まれたのは初めてです。

10ドル寄越せと言われれば、5ドル、3ドルと値切ることも出来ますが、コーラ1本を割ることは出来ないし、「半分こ」というのも何だか情けなく思います。
というより、基本的に私は賄賂が嫌いなのできっぱりと断りました。
他の係官のところに行ってみたのですが、あいつが捺さないならオレも捺さない、といった感じで話が前に進みません。

コーラ1本(約30円)ごときに意地を張るのもバカらしいと思いつつ、1時間も粘ってしまいました。
そしてようやく入国できたのです。
係官のおじさんが席を外した隙に、自分でビザのハンコを捺したのです。

最もバカらしいと思うのは、粘っている1時間の間に自分でコーラを3本も飲んでいたことです。