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カルガモと旅人

インドのゴアを旅していたときのこと。

安宿のテラスで日本人青年に会いました。
長身でヒゲ面、そしてドレッド・ヘアーという、日本の街角ですれ違うとあまり目を合わせたくない輩です。
その彼が満面の笑みで「こんにちは」と声をかけてきたことから会話は始まりました。

彼は初めての海外旅行でインドを選び、成田からムンバイに飛んだといいます。
ムンバイでは1泊1万5000円という、それなりに高級なホテルに宿泊していたそうです。
そのようなハイソなところに泊まれば、海外旅行初心者でもボッタくられることはないだろうと高をくくっていたのです。

ところが、ホテル内で両替をすれば「マージン」だと言って10ドル取られ、ルームサービスを頼めばチップに10ドルを要求され、ペットボトル1本を10ドルで買わされていたそうです。
これはおかしいと思いながらも3泊で120ドルを払い続け、4泊目にゴアへ移動し、私の泊まる宿屋へ移ってきたのです。

「そんな料金システムはあり得ないな。
きっとキミはホテルの従業員からMr.10ドル、もしくはMr.カルガモと呼ばれていたことだろう」
私が目の前のミルクティを飲み干して、ここのミルクティはたったの5ドルだぜ、というと、安いっすねぇ、とあっさり騙されている始末。

彼の愚行を茶化しながら諭していると、白人夫妻が我々の宿屋へ入居してきました。
イギリスを出て1カ月になるという夫妻は、ここへ来る前に、偶然にもカルガモ君と同じホテルに宿泊していたことがわかりました。
そして彼らは言いました。
「あんなステキなホテルはなかなかない。ルームサービスも接客もしっかりしていて、とても快適に過ごせたよ」

カルガモ君は俯いたまま、少し冷めてしまったミルクティをすすっていました。