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ホーリーと旅人

インドのアーグラーを旅していたときのこと。

その日、ゲスト・ハウスの従業員と、宿泊していた外国人が声を合わせて私に言いました。
「今日は外出しないほうがいい、ケガをするぞ。年に1度のホーリーだからな」
危険を承知でTシャツに海パン、そして手ぶらで私は門を出ました。

1秒後、赤やら青やら黄色やらの粉が一気に私の全身に降りかかりました。
「ハッピー・ホーリー、イェ〜イ、ジャパニ〜、ジャッキーチェーン・・・」
アホみたいな声もたくさん飛んできます。
ドカッ、ガスッ、バキッ、ビリッ・・・ 手や足も無数に飛んできて、Tシャツも破かれました。

その瞬間、私もアホみたいな声を発しながら手や足が動きだしました。
タイで習ったムエタイのハイキックと、浅草で教わった空手の上段回し蹴りと、大坂で培った罵詈雑言で反撃に出たのです。
「コラ〜、ボケ、カス、アホ〜、かっかってこ〜い・・・ ハッピーホーリーってなんやね〜ん」

するといつの間にか、殴り合いの混迷は親密な輪になり、笑顔で肩を組んで7人のインド人たちと街を練り歩き始めました。
道行く人と色粉なや色水を掛け合い、見知らぬ人の家によばれてお菓子やお酒を頂きました。
酔っぱらったインド人に絡まれたこともありましたが、仲間のインド人たちが迎撃してくれました。
どういうわけか、リンボーダンスもやらされました。

顔や体中を色粉や色水だらけにして宿へ戻ると、従業員が温かいチャイ(ミルクティ)をサービスしてくれました。
甘いはずのチャイですが、この日だけは絵の具の味がしたことを覚えています。

ホーリーが春の到来を祝う祭りだということを知ったのは、帰国してからのことです。